125社めぐり 五十鈴川編
125社めぐり 五十鈴川編 お参り16社
五十鈴川は内宮がその川上に鎮座するように神宮にとってもっとも聖なる川です。内宮の下流域にある月読宮や宇治山田神社、途中で神宮神田や神宮御園を潤し御塩浜を流れて伊勢湾にそそぎます。川辺の景観が美しい鏡宮神社と朝熊神社など水の恵みが豊かな地であると実感します。125社は五十鈴川や宮川など伊勢平野を南北に流れる河川流域に鎮まる神社が多い。
月読宮
【月読宮】三重県伊勢市中村町742−1
近鉄五十鈴川駅のある天皇陛下が行幸される際の参拝道、御幸道路側と国道23号の間に鎮まります。国道側に駐車場が広く整備されたが、かつては御幸道路側からが表参道でした。参道の奥に堂々とした4宮が直線的に並び建っています。参拝は月読宮、月読荒御魂宮、伊佐奈岐宮、伊佐奈弥宮の順番に行います。月読宮社殿は他の3社と比べ少し大きい。境内には樹齢が800年といわれる大杉が生えます。主祭神の月読尊は天照大神の弟神で夜之食国を治めます。伊弉諾尊は天照大神の父神、伊弉冉尊は天照大神の母神です。
月読宮つきよみのみや
皇大神宮別宮 祭神、月読尊つきよみのみこと
月読荒御魂宮つきよみのあらみたまのみや
皇大神宮別宮 祭神、月読尊荒御魂つきよみのみことのあらみたま
伊佐奈岐宮いざなぎのみや
皇大神宮別宮 祭神、伊弉諾尊いざなぎのみこと
伊佐奈弥宮いざなみのみや
皇大神宮別宮 祭神、伊弉冉尊いざなみのみこと
葭原神社あしはらじんじゃ
皇大神宮末社 祭神は三柱 佐佐津比古命ささつひこのみこと、宇加乃御玉御祖命うかのみたまのみおやのみこと、伊加利比賣命いかりひめのみこと
【葭原神社】三重県伊勢市中村町字向垣外813
三柱が祀られ田畑を守護する五穀豊穣の神です。月読宮の裏参道(駐車場側)の入口近くにある小さな社。社名から昔、この地が葭(葦、あし)の原であったことがうかがえます。
宇治山田神社うじようだじんじゃ
皇大神宮摂社 祭神、山田姫命ようだひめのみこと
皇大神宮末社 祭神は二柱、大水上御祖命おおみなかみのみおやのみこと 御裳乃須蘇比賣命 みものすそひめのみこと
【宇治山田神社・那自賣神社】 三重県伊勢市中村町字西垣外918番地
参道脇には伊勢神宮でお供えの敷物に使用する植物ミミズバイが生えています。社名、宇治山田を見ると伊勢市の旧市名、宇治山田(うじやまだ)と呼びそうになりますが「やまだ」ではなく「ようだ」です。水の神です。猿田彦神社の子孫、太田命の遺跡とも、そのまた子孫の宇治土公家が自己の祖先参りをしていた場所ともいわれています。神社背後に石積が残されています。同座の那自賣神社は五十鈴川の川水の守り神だそうです。
宇治山田神社は興玉さんと呼ばれる小高い丘の上にあります。内宮前の市営駐車場からもよく目立ちます。
大土御祖神社おおつちみおやじんじゃ
皇大神宮摂社 祭神は三柱 大国玉命おおくにたまのみこと、水佐佐良比古命みずささらひこのみこと、水佐佐良比賣命みずささらひめのみこと
同座 宇治乃奴鬼神社うじのぬきじんじゃ
皇大神宮末社 祭神、高水上命たかみなかみのみこと
【大土御祖神社・宇治乃奴鬼神社】三重県伊勢市楠部町字尾崎2132
大土御祖神社 大国玉命は200m東にある神宮神田の土地を守護する神と二柱の水の神です。神社後ろは五十鈴川です。宇治乃奴鬼神社は「宇治の奴鬼」と怖い社名ですが灌漑用水の神です。
境内には印象的な屈折した木が生えています。
国津御祖神社くにつみおやじんじゃ
皇大神宮摂社 祭神は二柱、宇治比賣命うじひめのみこと 田村比賣命たむらひめのみこと
同座 葦立弖神社あしだてじんじゃ
皇大神宮末社 祭神、玉移良比女命たまやらひめのみこと
【国津御祖神社・葦立弖神社】大土御祖神社境内
大土御祖神社と国津御祖神社は同じ境内にあります。参道手前が大土御祖神社。奥が国津御祖神社です。土地の神、産土神です。祭神の宇治比賣命は文字通りここ宇治の地を守る神です。葦立弖神社の祭神、玉移良比女命は宇治比賣命の御子です。土地の神です。隣接する大土御祖神社と合わせて女神が多く祀られています。倭姫命が神宮神田を定めた時に大土御祖神社と共に定めた古社です。また
神宮神田
【神宮神田】三重県伊勢市楠部町
近くを流れる五十鈴川の水を引き伊勢神宮で一年間に用いられる祭事の御料米を(うるち米、もち米)が作られます、広さは約3haです。神田の中央には祭場の石原があります。全国の稲作が順調である事を祈るお祭りが行われます。皇大神宮儀式帳には「この田には蛭すまず苗草敷かず」とあります。神田が害虫のいない、肥料のいらない美田の田んぼであると記しています。
鏡宮神社かがみのみやじんじゃ
皇大神宮末社 祭神、岩上二面神鏡霊いわのうえのふたつのみかがみのみたま
【鏡宮神社】三重県伊勢市朝熊町字西沖2266
祭神は後記する朝熊神社の御前神で御鏡を鎮祭します。水辺の風光明媚な社です。
朝熊川。朝熊川と五十鈴川の合流点の三角州にあります。
五十鈴川
神社横の五十鈴川はかつての伊勢神宮の貯木場でした。木場跡の案内が立っています。
両側は朝熊川と五十鈴川
社殿背後には夏みかんが見えます
境内右手奥に虎石と呼ばれる大岩があります。
祭神、岩上二面神鏡霊とは昔、大岩の上に置かれた二面の神鏡が御神体として祀られていた由縁です。社伝によると鎌倉時代1199年と1234年に紛失したが神鏡のご霊験により岩上へ復座されたそうです。
川面に神鏡が鎮まっていた神聖な場所なので今でも木柵を設けています。
朝熊神社あさくまじんじゃ
皇大神宮摂社 祭神は三柱、大歳神おおとしのかみ 苔虫神こけむしのかみ 朝熊水神あさくまのみずのかみ
【朝熊神社】三重県伊勢市朝熊町字櫻木2566-1
三柱の神はこの地の守り神で五穀と水の神です。鏡宮神社と朝熊神社は125社めぐりの中でも印象に残る水辺の風景です。
朝熊川を挟んで鏡宮神社の対岸に鎮座します。対岸へとつづく堀割橋と呼ばれる小さな橋を渡ると着きます。
鏡宮神社からの眺め。
朝熊神社は朝熊御前神社と並んで鎮座しています。東側が朝熊神社
皇大神宮摂社の第一として祭事も別宮に準じて行われ、伊勢神宮で行われる大祭、三節祭には深夜の儀式「宵暁の儀」に準じた神事が行われます。
朝熊御前神社あさくまみまえじんじゃ
皇大神宮摂社 祭神、朝熊御前神あさくまみまえのかみ
【朝熊御前神社 】:朝熊神社境内
朝熊神社に並んで西側に鎮座しています。朝熊神社が第一位の摂社と前記しました。特別な社で摂社・末社は多くありますが御前神社を別棟に設けているのはここだけです。
加努弥神社かぬみじんじゃ
皇大神宮末社 祭神、稲依比女命いなよりひめのみこと
【加努弥神社】三重県伊勢市鹿海町1194
祭神は大歳神の御子で五穀の守護神です。倭姫命によって稲依比女命が祀られたそうですが中世以降、その地は明らかになっていません。明治時代に西鹿海の産土神を当社に当てたそうです。祭典時には神宮からの神職が来ていたが産土神を神宮末社にしていることに異議があり、明治19年に社地を新たに設けました。
小さく簡素な神社ですがかえって125社めぐりの奥の深さを感じます。
祭神は神殿がなく石畳の上に石神として祀られています。
社地は宮域外の125社の中で最小ですが社頭には力強く太い根っこが顔を出しています。
水田の真ん中に鎮まる神社で背丈の高い楠の木が遠くから分かりやすい。
倭姫宮やまとひめのみや
皇大神宮別宮 祭神、倭姫命やまとひめのみこと
【倭姫宮】三重県伊勢市楠部町5
祭神は天照大神の御杖代となり皇大神宮創建に功績のあった第十一代垂仁天皇の皇女、倭姫命です。神宮では一番新しく建てられたお宮です。倭姫命を伊勢の地でお出迎えになったゆかりある神々をお祀りする摂社・末社はたくさんあります。しかし当の倭姫命はどこにもお祀りされていなかったのです。この地を聖地として定めた功績ある倭姫命を祀る神社を創建したいと地元崇敬者の切なる運動により大正十二年(1923年)11月5日に御鎮座祭が行われました。明治神宮の3年後に創建されました。近くには神宮徴古館などの文教施設や倭姫命の御陵とされる地もあります。
神宮徴古館(ちょうこかん)
徴古館とは博物館という言葉が出来る前のネーミングです。意味は「古きものが明らかになる」。国の重要文化財11点をはじめ神宮のこと祭事や歴史・文化に関する資料が展示されています。ルネサンス様式の白亜の建物は国宝迎賓館などの設計で有名な片山東熊。重厚で格調ある外見が特徴で館内には貴賓室も設けられています。館前に広がる西洋庭園はフランス・ヴェルサイユ宮殿を模したといわれています。125社めぐりの時に是非とも立ち寄って欲しい。