伊勢神宮・内宮の別宮 倭姫宮

 

正宮に次ぐ格式高いお宮、それが別宮です。内宮や外宮の域内にも別宮がありますが、少し離れた場所にもあります。なかでも伊勢から遠く離れた瀧原宮や伊雑宮の別宮のことを「遙宮」(とおのみや)と呼びます。参拝者で賑わう両正宮参拝の後は静かで趣のある別宮をおすすめします。

内宮・外宮に内宮十か所、外宮4か所のあわせて14の別宮があります。そのうち9社が宮域外にあります。

外宮の別宮である月夜見宮以外は内宮の別宮で月讀宮(月讀宮つきよみのみや・月讀荒御魂宮つきよみのあらみたのみや・伊佐奈岐宮いざなぎのみや・伊佐奈弥宮いざなみのみや)、倭姫宮やまとひめのみや、伊雑宮いざわのみや、瀧原宮たきはらのみや(瀧原宮、瀧原竝宮たきはらのならびのみや)があります。宮域外の9の別宮巡りをおすすめします。

 

倭姫宮

 

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内宮の別宮 倭姫宮は内宮と外宮の中間に位置し約4ヘクタールの広大な森の中に鎮座しています。緑豊かな長い参道を進みます。秋には参道で紅葉が楽しめます。 

 

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参道の脇に生えている木の根元が生命力で溢れています。

 

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宿衛屋の前の履物が美しく整列されており女性のお宮を感じさせます。昭和20年(1945年)の宇治山田空襲では宿衛屋が焼け落ちましたが本殿は消失を免れました。

 

 

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参道の右手側の手水舎で手口を清めます。

 

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倭姫宮の御祭神は第11代垂仁天皇(すいにんてんのう)の皇女、倭姫命です。昔、天照大神は宮中に祀られていましたが倭姫命が大御神の神の代わりとなり奉仕する役目(御杖代みつえしろ)となって新たなご鎮座地を求めて大和から出発し伊賀、近江、美濃など各地を巡った末に約2000年前、大御神の教えにより五十鈴川の川上に伊勢神宮・内宮を創建されました。こうした大きな功績のあった倭姫命ですが、なぜかお祭りするお宮がありませんでした。このことを残念に思い明治半ばから市民のお宮創立の声が高まり大正12年に熱望が実を結び現在の地に祭られました。伊勢神宮のお宮は由来が古いものですが、ここのお宮は特別な事情で創立された極めて新しいものです。(ちなみに明治神宮の創建は大正9年です。)伊勢神宮125社の中で最も新しい。

また倭姫命は日本神話の英雄である甥の日本武尊(やまとたけるのみこと)が西征に出立する際に,伊勢神宮にいる自分の衣装を与えました。日本武尊はそれで女装して敵を油断させ殺害することができました。また東征の際にも日本武尊に三種の神器の一つ草薙剣と火打ち石の入った袋を与えたので、それを用いて難を切り抜けることができたと『古事記』は伝えています。

 

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倭姫命は天照大神を伊勢の地にご案内したことからすべてを良い方向に導いてくださる神様として信仰されているようです。別宮の参拝方法は特に決まりはありませんが外宮参拝のあとに月夜見宮、内宮参拝のあとに一番近い月読宮のあとに、ここ倭姫宮へ。そこから遙宮へ行くのが順当な参拝順序でしょう。また倭姫宮周囲には皇學館大学・神宮徴古館・神宮農業館(日本最古の産業博物館)・神宮美術館・神宮文庫など伊勢神宮の文化施設が集まっています。その中でも近くには倭姫命の御陵と伝えられている墳墓があります。

 

 

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坂の上の柵の中にご陵墓の跡があります。

  

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倭姫命御陵参考地 前方後円墳と思われる古墳の廃墟があります。これを尾上御陵(おべごりょう)といって倭姫命のご陵墓であると伝えられ昭和3年に宮内省から「倭姫命御陵参考地」に指定されました。その後、昭和36年にご陵域が宮内庁の手によって整備されました。ただ伝説にとどまりはっきりした史料がありません。倭姫宮から西の方面に徒歩約10分です。ここには文化施設などが集まっていますので伊勢神宮の由来や歴史を訪ねるお参りや散策におすすめです。

 

 

倭姫宮 

住所 〒516-0014 三重県伊勢市楠部町5 電話番号 0596-24-1111  参拝時間:午前5時から参拝停止時間午後6時まで。(参拝停止時間は5月から8月までは午後7時まで、10月から12月までは午後5時まで)お札や御朱印のお取り扱いもしています。アクセス 三重交通バス 徴古館前バス停より徒歩1分。近鉄宇治山田駅よりタクシー5分。

 

 

倭姫命御陵参考地